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Yuka あの日から
Yuka あの日から
「Yukaさん、冷蔵庫のちょっと飲んでもいい?」
ガチャンと冷蔵庫をあけ、窓側のドリンクをみているMika。そう、今MikaはYuka達と暮らしているのだ。
「いいけど。お酒の類はだめよ。」
「わかってるって。」
目の前で、兄であるmakotoが殺されているのを見ただけに、Yukaは少し心配したが、今はこの生活になれているようで、安心した。
「....ところで、Yukaさんとおにいちゃんってどこで知り合ったの?」
「今だったら、話してもいいのかな。Mikaちゃんには。」
その日は、大雨だった。当然グランドは使えないから、体育館に生徒が集められた。その中に教頭先生の言葉が響く。
「みなさん、ニュースでご存知かもしれませんが、一年B組のmakotoさんのご両親、Yukaさんのお父さんが、先日の飛行機事故でお亡くなりになりました。ご冥福を祈って5分間黙祷をささげてたいと思います。」
運命のいたずらか、makotoとYukaは同じクラスだった。クラス担任は朝から2人の家を行き来していた。
Yukaの母は、Yukaが小学生の時に亡くなった。心臓マヒによる死亡という話だが、父も、Yukaも信じていなかった。死ぬ数週間前の健康診断では健康そのものだったし、べつに心臓に持病をもっている訳ではなかったからだ。
「パパ?ママは誰かに殺されたの?」
そのYukaの言葉に、父は黙り込んだ。
Yukaには、その時の風景がまだ頭に焼き付いている。忘れる事ができなかった。Yukaは思った。これは母を殺したのと同一犯の指示ではないのかと。
ただ、それを証明する方法はなかった。思うだけ。
.....その時ほど、自分の非力さを感じたことはなかった。
遺族に対しての説明会が東京であるというので、特急と新幹線で東京へと向かう。もちろん、飛行機の方が早いしその費用に関してはむこうがもってくれる。でも飛行機には乗れなかった。航空会社には非がないというのは心ではわかっている。でも.....
「ひょっとして、Yukaさん?」
同年齢くらいの男の子が声をかけてきた。よく見れば同じクラスのmakotoだった。
「makotoくんも、説明会にいくんだっけ。やっぱあの後じゃなかなか飛行機に乗る気にはならないわよね。」
makotoは黙り込んでしまった。
「ごめん....」
「いや、そういうわけでは....どうも今回の事件、単なる誤爆とは思えなくって。.....怖いっていうのは確かかもしれない。」
近くに同じ事を考えている人がいた....それだけで少しうれしかった。
「こんなこと、Yukaさんに話していいのかわからないんだけど、飛行機が離陸した前後あたりに、母からだまされたって電話があったんです。」
(やっぱり、父の乗っていた飛行機は狙われていたんだ。)
そう確信した。
「しかも、全てを言い切る前に電話が途切れて。それでしばらくして夕方の臨時ニュースで。」
makotoは、一緒にもってきたメモをYukaに見せた。
「電話の最後の方で、メモがどうとか言っていたから台所を探したら、こういうメモがあったんです。」
メモをみて、Yukaは絶句した。そのメモには父も確実に狙われていたという理由がはっきりと書かれていたから。
「....もっと早くメモの存在を知っていたら、止めるすべがあったかもしれない。そういう意味では僕もYukaさんにとってのかたきかもしれない。」
makotoは、Yukaの前で泣き崩れた。
「Yukaさんは....僕が守るから.....」
かたき?....違う。あれだけ母のことを思っていた父の事だ。わかった上で行ったのかもしれない。
「すくなくとも、makotoくんに対してはなんともおもってないわ。」
「でも....」
「こら、めそめそしてる暇はないんだから。」
「.......」
「....Yukaさんって、呼ばれるのはすこし変な気分。呼び捨てでいい。」
「....はい」
それから、よく学校で調べた情報を交換するようになった。あまりにもよく話すところをみかけるものだから、「恋人か?」と噂されるようになった。
.....でも、そのころは既に(makotoはどうだったか知らないが)まんざらではなかった。本当に恋心を引かれる存在になっていた。
卒業が間近になってきた頃、また哀しいニュースが飛びこんできた。
一年の時から私達の事を心配してくれていた先生が「自殺」したというニュースだった。
(あの先生が?まさか...)
信じられなかった。でも死んだというのは事実だった。
そのニュースがあった翌日、makotoとYukaの2人にその先生からの手紙が届いた。
(やっぱり、先生もあの事件の事調べてた.....)
調べていると、とんでもない事を発見した。
今度、その当事者と接触してみようと思う。
ひょっとしたら、生きて会えないかもしれない。
でも、やらないと気がすまないんだ
いままで、君達になにもしてあげられなかった事を
いまでも悔やんでいる。
いままで、私の生徒であってくれてありがとう。
takumi
今まで、心の中にしまっていたはずの怒りがふつふつと沸き始めてきた。そしてその怒りはとんでもない方向に向かった。
「警察が手をださないのであれば私が....」
「それでCafe Black Catをつくったんですね。」
似たような声が、ダブって聞こえた。YukiとYimiの声だ。
「殺し屋なんて、よくmakotoさん黙ってくれましたね。」
もちろん反対された。でも、止められなかった。かたきをうちたいという気持ちはmakotoにもすくなからずあったからだ。
「おにいちゃん、そんな事ぜんぜん話してくれなかった....」
「それは、それだけMikaちゃんのこと心配してくれたのよ。おにいちゃんなりにね。」
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